杉本会計事務所

スタッフコラム
STAFF
COLUMN

2022.04.17
Contributor:ポン太

Golden Tea Room

想像をしてみてください。

夜の茶会に参加をしています。
夜の真っ暗な茶室にろうそくが一本静かに灯り、そこに真っ黒な茶碗(瀬戸黒とか黒楽茶碗)があります。
暗闇の中のほのかな明かりに照らされた黒い茶碗とその世界。
利休の求めていた究極の「侘び・寂び」の世界です。

今度は真っ暗な黄金の茶室にいます。
一本のろうそくに照らしだされたほのかな黄金の世界。
茶室の障子にはエンジ色の紗(うすぎぬのこと)が貼られていて、それがまた黄金の美しさを高めてくれているようです。秀吉の黄金の茶室といえば贅沢、豪奢という言葉が当たり前のように言われますが、夜の茶会に使用されるとなると趣は違うようです。

豪奢の世界ではありますが、反面、暗闇の中に光る黄金とエンジ色の紗の取り合わせはおそろしいほどの美の世界でもあります。
豪華な金を闇の中でかすかに光らせる・・・
金は永遠に光沢を失わない金属とされてきました。
劣化のない金属、権力のシンボルとされるその金に、できるだけ光を当てないようにして「渋く」演出することも「侘び・寂び」の深い表現なのかもしれません。

人間が黄金の輝きにひかれるのは、なぜなのでしょう。

まだ人類がアフリカのサバンナで生活していた頃の記憶が、DNAに刷り込まれているからだという学説があります。

当時、狩猟民族だったわたしたちの祖先がサバンナで生き抜くために必要なものは水でした。
アフリカの大地で、沈む夕日を受けて金色に輝く水場が、わたしたちにとって何よりも尊くて美しいものだと本能に刷り込まれた。
そのため文明が進んでいつでも水が手に入るようになった現代でも、わたしたちは本能的に金色に輝くゴールドにひかれるというわけです。
興味深い学説ですね。

コロナ禍がきっかけで投資マネーが金に流れ、金価格は高騰しました。
そのコロナの影響が残る中でのウクライナショックで、さらに安全資産の金が買われたことで最高値になった金。

海外、特に西洋にはあまりない美意識である「侘び・寂び」
清楚で質素な生活を旨とし、物の不足のなかに心の充足と美を求める思想。

心でみる美しさが、今こそ求められているのではないでしょうか。

そして、1日も早い戦争の終結を祈るばかりです。

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