杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2023.05.31
Contributor:motoki

経営力の差で道の駅も二極化?

コロナ禍以降、三蜜回避(懐かしいフレーズです)と運動不足解消を目的として、月に1・2回ほど低山を中心に登山を続けています。

中部横断道の開通もあり、静岡からは山梨・長野まで、日帰り登山の可能な範囲が広がりました。

そうした遠方にまで足を延ばした際に、買物や飲食で立ち寄るのが各地にある道の駅です。

個人的には、地味な地元産品販売所というイメージですが、全国に1,100以上ある道の駅の中には、ショッピングモールや憩いの場として地域の有力集客施設になっているところもあります。

その一つで、集客や満足度ランキングでトップクラスに入るのが、群馬県にある川場田園プラザ。先日、機会があって立ち寄ることができました。

1日まるごと楽しめる!遊べる食べれる道の駅 – 川場田園プラザ (denenplaza.co.jp)

この施設については、現在の成功に至る経営手法が経営誌やテレビ等で取り上げられ、私も以前から興味を持っていました。

道の駅は基本的に第三セクターとして運営されていますが、改革を実践された永井社長によれば、2007年の社長就任時、官民の悪いところを寄せ集めた下記のような状況だったようです。

・開業10年/年間訪問者60万人/売上5億円/赤字(経営破綻寸前)
・社員の当事者意識の欠如(三セクにありがちな国・行政への依存体質)
・店舗ごとの縦割り意識(隣が忙しくても我関せず・他人ごと)

この現状に対して、永井社長が取った主な打ち手は次のとおりです。

・中期計画の作成(売上10億/黒字化/社員への利益還元等)
・店舗横断型の委員会組織の設置(縦割り意識打破/一体感醸成)
・カンパニー制の導入(店舗別独立採算制)
・月次決算/予実分析
・経営課題(即時/短期/中期/長期)の抽出及び進捗管理
・農家等納入業者への店舗販売情報のフィードバック

一般の事業会社からすれば、個々の施策は必ずしも特別なものではありませんが、道の駅のような第三セクターに導入・実践するのは、必ずしも容易ではなかったものと想像します。

永井社長は、客観的な数字に基づく管理を基盤に社員の経営意識を高め、結果として3年後には売上10億・黒字経営を達成しました。

その後、コロナ禍による落ち込みはあったものの、好業績を維持しているようです。

ここ数年は、増加する首都圏からの利用者向けにチーズ・ヨーグルト等のプレミアム商品を販売するなど、顧客重視・現場目線の対応にも積極的に取り組んでいます。

今回、実際に施設を訪れてみて、午前中から行列ができる店舗があったり、お昼には近場の駐車場が満車になったりで、来訪者・利用者の多さと活気は予想を超える状況でした。

個人的には、人気商品の味やプレミアム商品の値段など、評判先行?と感じる部分も若干ありましたが、総じて商品の質感も施設全体の雰囲気や居心地も好印象で、リピーターが7割というのも分かる気がしました。

そんな川場田園プラザは、前述のとおり全国トップクラスの集客と顧客満足度を誇りますが、全ての道の駅が活況というわけではありません。

これまでに訪れた道の駅の中には、来訪者が少ないため活気もなく停滞し、野菜等の生鮮食品が売れない→鮮度が落ちる→さらに売れないといった悪循環に陥っているところも少なくありません。

道の駅も、経営的には二極化しているのが実情だと思います。

道の駅の取扱商品は地域ごとに種類は異なっても、地場産品等の新鮮素材という点で、それぞれに商品力があるとすれば、集客や業績に大きく差が生じる主要因は、経営力にあると言えそうです。

コロナ明けで人の動きが活発になる中で、川場田園プラザが今後も好業績を維持するのか、また各地の道の駅の中に、より魅力的なところがあるのか、あるいは今後出てくるのか。

これからも道の駅への寄り道を、登山帰りのささやかな楽しみにしたいと思います。

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