杉本会計事務所

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2023.05.07
Contributor:ポン太

綿毛

気がつくと咲いているような身近な花のタンポポ。
黄色い花が白い綿毛に変身して、ふわふわと空に綿毛が舞っていました。ふわふわしていて愛らしいタンポポの綿毛。

タンポポは、黄色い花が咲いてから約2週間で白い綿毛に変わります。
愛らしいタンポポの花ですが、実は咲いている期間は少なく、咲いた後にすぐにしぼんで、白い綿毛になる準備をはじめます。
タンポポは一度咲いたあとに、更に成長し、種子に綿毛をつけ遠くへ飛んでいきます。
綿毛は飛ぶのに適した構造になっていて、秒速0.5mの風であれば空中に浮遊して、最大約10kmまで飛ぶことができます。

そんなタンポポの綿毛をヒントに、光で飛んだり着地したりを制御できる小型ロボットが開発されました。
風の力で遠くまで漂うタンポポの綿毛から着想を得て開発された小型ロボット。

近年では温暖化の影響でミツバチなどの送粉者が減少傾向にあり、今後、食料生産や生物多様性に大きな影響を与える恐れがあります。

ミツバチなどに代わって花粉の運び屋になると期待されているこの小型ロボット。
可動部には、「光応答性の液晶エラストマー」が利用されています。
※液晶エラストマー
棒状の分子が規則正しく並んだ素材で、外部の刺激(温度、光、電場、磁場など)によって配列が変化するという特性があり、ゴム弾性も持つ。

液晶エラストマーは以前から人工筋肉としての役割が期待されていました。
小型ロボットに光を当てると、その美しい羽(14μmの繊維の集まり)が開閉します。
しかし液晶エラストマーで開閉する羽があるだけでは、このロボットは本物の綿毛のように遠くまで飛んでいけません。

タンポポの綿毛は、多数の細孔(小さな穴)が空いたような構造となっており、綿毛の上方に渦輪(環状の空気の渦)が作られるようになっています。
この渦輪は、綿毛の隙間を通り抜ける空気と外側を通る空気の圧力差で発生します。
この渦が揚力を生むことで、綿毛は長く飛び続けることができるのです。

小型ロボットでもこの渦輪が発生するようにデザインされ、タンポポの綿毛のように風の力で十分な揚力を得ることができます。

将来的には、花粉を抱えた数百万の小型ロボットが、送粉者としてはるか遠くまで飛んでいくことが期待できます。
しかし、その期待に応えるのにはまだまだ未解決の部分があります。
例えば、ロボットを目的地まで正確に誘導する方法や、ロボットを再利用する方法などが挙げられます。
そして環境を汚染しないように、生分解性のあるロボットであることも必要になります。

私たちの身近な生物は、私たちの暮らしを知らない間に豊かにしてくれています。
人間の活動が自然環境に悪影響を与えず、よりよい社会の実現が維持できるようにしていきたいですね。

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