杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2023.03.31
Contributor:motoki

仕事の成果:二つの方程式

「どうする家康」効果で来訪者が増加している静岡市の駿府城公園は桜が満開。この週末は静岡まつりが開催され、いよいよ新年度に入りますね。

今春は、人手不足の中で就職する新入社員の初任給のみならず、全国的に賃上げムードが広がっています。

その一方で、必要とされるのは生産性向上。それなくして、ただお給料が増える訳ではなく、老若男女を問わず、より一層の成果を上げることが求められています。

この仕事の成果に関して、私は次の二つの方程式を意識して考えます。

①人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
②成果=「インプット×思考回数×試行回数」÷時間×「ミッション×バリュー」

①は以前のコラムでも取り上げた、故稲森和夫氏が提唱された方程式。

②はモバイルバッテリー等の家電販売で急成長しているブランド、アンカー・ジャパン社長の猿渡歩氏が、著書「1位思考」で主張されている考え方。

今回は②の成果の考え方を少し掘り下げてみました。方程式の各要素について、私の理解は次のとおりです。

・インプット:自ら体得した知識や経験
・思考回数:インプットについて考え抜いた頻度
・試行回数:考え抜いた思考を実践した頻度
・÷時間:スピード感
・ミッション:組織・個人が目指す価値
・バリュー:顧客への提供価値

日々の仕事の中で、漫然と知識や経験(インプット)を得るのではなく、その意味合いや本質を自分なりに何度も考え抜き(思考回数)、その考えに基づいて繰り返し実践すること(試行回数)。

3要素は掛け算「インプット×思考回数×試行回数」なので、それぞれの量・数を増やすことで、成果の質と大きさが高まります。

この3要素は、個人の生来の潜在的能力に依存せず、誰でも努力次第で増やせるもので、稲盛方程式の「熱意」に通じます。

稲盛方程式には要素として「能力」があり「生まれつき備わっているもの」を意味しますが、この与件としての「能力」よりも、自分の意志で決められる「熱意」をより重視しています。

成果が上がらないのは元々能力がないからと諦めることなく、意思と努力で3要素を高める。それ次第で、誰もがいつからでも成果を上げるチャンスがある、と前向きに考えたいものです。

次に猿渡方程式で着目したいのは、3要素の掛け算を時間で割り算している点。

成果を上げるためのに3要素を高める必要がありますが、そのために必要以上の時間を要していたら成果は下がる。スピードが重要ということです。

猿渡氏は「スピード感=意思決定の数」と端的に表現しています。意思決定の数が増え、その決めごとがより速く実行されれば、より成果が高まる。

スピードを計る指標(KPI)として、シンプルな意思決定の数を用いることで、意思決定を遅らせる不要な業務や手続きを見直し削減する方向にも、有効に機能するものと思われます。

レッドオーシャンの家電業界に後発で参入し急成長を遂げた会社の経営者だけあって、スピードへの意識レベルが高いのでしょう。

成果の方程式に時間軸を取り込んでいる点は、稲盛方程式に(少なくとも明示的には)含まれていない視点かも知れません。

方程式最後の「ミッション×バリュー」は、「組織・個人が目指すものは何か、顧客価値とは何か、それらをどのように擦り合わせるのか」という根本的な価値(存在意義)に関わるもの。

猿渡氏は著書で、成果を上げる(1位を目指す)ために必要な6つの習慣を掲げており、「ミッション×バリュー」を高めるためには、その中の「全体最適の習慣」が重要としています。

個人や部門が3要素を高め、意思決定の数を増やしても、その方向性(価値観)が独りよがりの部分最適で組織の目指すところと合致しない、すなわち全体最適を考慮していなければ、総和としての成果は上がらない。

この点は、稲盛方程式において最重要項目とされる「考え方」と共通するものと考えられます。

「どうしたら成果が上がるのか」

4月からの新年度、気持ちを新たにして、二つの成果の方程式の中身をさらに深く吟味して、この命題に取り組んで行きたいところです。

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