杉本会計事務所

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2022.10.30
Contributor:ポン太

モーしわけない??

地球温暖化の原因になる温室効果ガスとしては、工場などから出る二酸化炭素が良く知られていますね。

そして、牛や羊などのげっぷに含まれるメタンガスの温室効果は二酸化炭素よりはるかに高いことも知られています。
※牛や羊などの反すう動物は、牧草などの植物のセルロースを、胃の中の酵素やバクテリアの助けを借りて消化しています。そのときに生じたガスが、げっぷとなって口から放出されます。

世界でも有数の畜産大国であるニュージーランドは、家畜からでる温室効果ガスに税金を課す計画を発表しました。

温暖化の原因なの??モーしわけない?

話は全く変わりますが、日本では肉用牛免税という制度があります。
個人事業主の農業者、農業法人(農地所有適格法人)が下記以外の牛を売却したときには、年間1500頭までは税金がかからないという特例です。

<肉用牛免税の対象とならないもの>
① 種雄牛
② 肉用牛の子取り用雌牛で、固定資産に該当する牛
③ 乳牛の雌のうち、子牛の生産の用途に使われた牛(経産牛、妊娠牛)
④ 100万円以上で売却された肉用種の牛で、高等登録牛又は育種登録牛ではない牛
⑤ 80万円以上で売却された交雑種の牛
⑥ 50万円以上で売却された乳用種の牛
⑦ 飼養期間が2カ月未満の牛

この制度は、
個人が肉用子牛を売却したことで発生する農業所得を免除する。
農業法人であれば、免税対象となる肉用子牛を売却したことによる利益を経費として計上できる。というしくみです。
※所有又は借用した農地で飼料作物等の栽培を行いながら、肉用牛を飼養している者を対象にした制度ですので、畜産業のみを営む個人・法人は特例の適用は受けられません。

もうすぐ年末調整の時期に入りますので、さらに話を脱線して問題です。
<問題>
肉用牛免税所得100万円の方がいます。課税される所得は0円です。
所得税の親族の扶養になることができるのでしょうか。

<答え>
親族の扶養になることはできません。
ポイントは、肉用牛免税による肉用牛の売却所得は「免税所得」であるという点です。
この方は免税前の農業所得が100万円ありますので、親族の扶養にはなれません。
免税でも所得は所得なのです。
これは、遺族年金等の「非課税所得」とは異なります。
遺族年金等の非課税所得は、多額であっても非課税ですので、親族の扶養に入ることができます。

最後に
温暖化ガスの排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルの推進は、農業分野にも及んでいます。
その中でも食肉を生産する畜産業は、世界全体で排出されるCO2排出量の14%を占めているため、2020年の欧州議会では食肉税をかけることで、肉の消費量を減らすことも検討されています。

食品メーカーや飲食企業では、最もCO2排出量が多い牛肉を中心とした食肉を使いにくい風潮が高まっているため、植物をベースにした代替肉の開発が、新たなビジネスチャンスになってきています。

お肉を美味しいといただくだけではなく、一人ひとりが自分に何が出来るのかと考えることも必要な時代になりましたね。

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