杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2022.09.30
Contributor:motoki

リスク・マネジメントの見直し

静岡では先週末の豪雨(台風15号)による被害が、清水区を中心に継続しています。

週明け私も、所属団体による同地域への飲料水や給水袋等の提供活動に協力したところですが、現在も断水等により生活基盤が復旧していない皆さんに、心よりお見舞い申し上げます。

個人的には葵区の自宅の停電が12時間で復旧。事務所スタッフも駿河区在住者に被害はほぼなく、清水区在住者も一時的な断水に留まりました。

また事務所も停電によるシステムダウン等がありましたが、スタッフが駆け付け対応してくれ、週明けから大きな支障もなく業務が行えました。

人的にも物的にも運が良かったのかも知れません。

クライアントを含む周囲の被災状況は事業所や社員の所在地により様々ですが、その対処には、災害等の突発事象に対する平時の準備と試行をどこまでやっているか、その差が出ていると思います。

この平時の準備と試行は、個人や組織のリスク・マネジメントそのものであり、基本は次の3要素とされます。

・危機の未然防止
・危機発生時のダメージ最小化
・事後の早期復旧

また準備と試行の程度は、次の算式の想定リスクの大きさを考慮して決めます。

・リスク=ダメージの大きさ×確率

今回の豪雨への身近な対処実例としては、自家発電と井戸水により人工透析を継続したクリニック(未然防止)、断水地域社員の当座利用に即ビジネスホテルを確保した企業(ダメージ最小化)、電力会社による鉄塔倒壊に伴う別送電ルートへの移行(早期復旧)などがありました。

こうしたケースを事後に知れば「なるほど」と納得するわけですが、平時の様々な事象の想定と対応策の具体的な試行がなければ、未然防止策の実行や発生時のダメージ対応・復旧の迅速な実践は出来ないでしょう。

個人が防災本を読んで知識を得るだけ、組織がBCPや災害マニュアルを作成するだけではダメだし、避難訓練やAED使用体験を面倒がったり、やらされ感で行うだけでもいけない。

また想定ダメージ・確率を過少に見積り準備が不足したり、逆に過大に見積り過剰な準備をしてもいけない(後者は少ないと思いますが)。

今回の個人や組織の対応を見ると、そんな当たり前のことを改めて認識しました。

かく言う自分も停電中に、駐車場シャッターの手動切換えに手こずったり、押入れから引っ張り出したランタンの電池が足りなかったり、スマホ充電器自体が充電されてなかったり。

リスク・マネジメント意識の欠如を痛感した次第です。

まずはリスクの種類と程度を想定し、そのリスク別に上記3要素を具体的に考えておくこと。そして平時の確認と試行=実行できる・使える・利用できる状態にしておくことが重要ですね。

ある経営者の次の言葉を思い出し手帳を読み返しました。リスク・マネジメントにも相通ずる示唆を感じています。

経営者の学ぶ姿勢と試す姿勢の貪欲さが全てを決める。
当たり前のことを知識に留めて実行しなければ致命傷になる。

New Column

Director Column

View More

Staff Column

View More