杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2022.08.31
Contributor:motoki

人生・仕事の方程式

昨日、経営の神様の一人とされる稲盛和夫さん死去の報道がありました。これまで稲盛さんの著書等から多くの学びを得て来たので残念です。ご冥福をお祈りします。

個人的に印象に残る書籍としては、「稲盛和夫の実学」・「生き方」・「働き方」・「考え方」などがありますが、インパクトがあった示唆の一つは、次の人生・仕事の方程式。

人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力

人生・仕事の結果を決める3つの要素について、「能力」の多くは生まれつき備わっているもの、「熱意」は自分の意思によるもので、いずれも個人差はあるものの、0から100のプラスの要素。

一方で、本人の人生観・人間性・生きる姿勢などを意味する「考え方」は、善悪が反映するため振れ幅はマイナス100からプラス100までとなり、善くも悪くも、人生・仕事の結果を大きく左右する最も重要な要素とされます。

さらに著書では、プラスとマイナスの考え方について、次のとおり具体的に示されています。

(プラスの考え方)
・常に前向きで、肯定的、建設的である。
・皆と一緒に仕事をしようと考える協調性を持っている。
・真面目で、正直で、謙虚で、努力家である。
・利己的ではなく、「足る」を知り、感謝の心を持っている。
・善意に満ち、思いやりがあって優しい。

(マイナスの考え方)
・後ろ向きで、否定的で、非協力的である。
・暗く、悪意に満ちて、意地が悪く、他人を陥れようとする。
・不真面目で、嘘つきで、傲慢で、怠け者。
・利己的で強欲、不平不満ばかり。
・自分の非を棚にあげて、人を恨み、人を妬む。

プラスの考え方の全てを実践するのは難しそうと感じると同時に、マイナスの考え方については、ここまでネガティブにはならないだろうと思いつつも、そのいくつかは、日常の生活や仕事の所々で、自らの言動にも当てはまるのかなと感じます。

人生と仕事を充実させるには、一つ一つの考え方・姿勢を意識して、プラスを増やしマイナスを減らす地道な取り組みが必要ですね。

稲盛経営学は、人としてどう生きるかを示すフィロソフィと、組織を小集団に分けてその採算最大化を図るアメーバ経営が2本柱であり、両者をつないで人生と仕事で結果を求めるのが、この人生・仕事の方程式。そう理解しています。

こうした原理・原則論を基盤に、世界企業となる京セラやKDDIを創業し、さらにはJALの再生も成し遂げられたことは、本当にすごいことだと思います。

私は個人的経験として、監査法人時代にJALの監査に携わっていました。

会社側で対応されるのは経営管理部門のエキスパート。監査で積み上げた事実関係に基づいて指摘事項や改善点を提示しても、専門性と論理性に裏打ちされた説明の下「指摘は当たらず改善も必要なし」と論破・一蹴されることもありました。

監査チームは、皆が独特の緊張感を持って監査に臨んでいたように記憶しています。

あの官僚的エリート集団に、フィロソフィとアメーバという、心のありようや小集団活動的手法を持ち込み、意識改革や業績改善を押し進め、短期間に再上場を実現したことには驚くばかりです。

企業規模や業種に関わらず、経営や人のあり方の原理・原則は変わらないということでしょうか。

書籍の引用ばかりになってしまいましたが、亡くなられたことを機に、このところ書棚の一角にひっそりと並んでいた稲盛さんの著書を、改めて読み返してみたいと思います。

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