2021.04.12
Contributor:ポン太
草花が色とりどりに咲く季節がやってきました。
花壇の花は一斉に咲いてきれいなのですが、かれる時期も一緒。
道ばたの草花は、環境が変化しても絶滅しないように、あえて時期をずらして発芽するなど、刈られようが踏まれようが耐えて生き抜き、たくましく花を咲かせています。
桜の花が咲き誇り、皆が頭上の桜に見とれている頃に、足元でひっそりと花を咲かせ、ひときわ鮮やかな濃い紫色で存在感を示す小さな花があります。
その小さな花は、「スミレ」です。
女の子の名前としても人気のスミレ。
スミレ色や、可憐な女性を表現する際も「スミレのような」と例えたりしますよね。
その花言葉は、謙虚あるいは誠実です。
あの可愛らしい小さな花は、ちょっと不思議な作りになっています。
その花をよく見てみると、花の後ろが細長く突き出すような袋状になっています。
この袋は距(きょ)と呼ばれ、蜜の在りかです。
虫が蜜を求めて潜り込むと花粉がつき、別の花への運搬役を任されてしまう仕掛けになっています。
そしてスミレは、春の花が終わったあとも、夏や秋、時には冬にも結実します。
これは「閉鎖花」と言って、まだ蕾の段階で自家受粉し結実してしまいます。
あの可憐で小さな花は、一年中種を作り続けているのです。
さらにスミレは、その種を出来るだけ遠くに運ぶための工夫にも余念がありません。
その種は熟すとさやが弾け、中の種子が遠くに飛ぶようになっています。
またその種子には、糖質のコーティングがされていて、これを甘いものが好きな蟻が運んでいくという仕組みになっています。
蟻は周りの甘いところをなめ終わると、その辺に種を捨ててしまうので、その場で発芽します。
あの可憐で小さな花は、こんなにも巧みに多彩な繁栄戦略を遂行しているのです。
スミレの花言葉 謙虚、誠実とは、
最善を尽くす個の努力があってこそ・・・
そんな意味からきているのかもしれません。
コロナ禍で遠出が難しいとき、
ご近所散策をしながら、道ばたの草花観察をしてみるのもいいいですね。
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