杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2020.03.30
Contributor:motoki

今差が出る「資金の溜め」

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、経済への影響も甚大になっています。

その損害はリーマンショック以上とも言われ、小売・飲食・サービス業等では、中小事業者を中心に売上がパタリと止まってしまう「売上蒸発」が現実問題として起こっています。

今回のように急激に業績が悪化する状況で、事業継続できるのか。ここで大きく差が出るのは「資金の溜め(現預金残高)」があるかどうかです。

その「資金の溜め」の目安はどれくらいか。これはクライアントからよく問われる質問です。

業種・規模・事業資金の回し方等によって異なり、絶対的な答えはありませんが、「固定支出3か月分」と回答しています。

固定支出とは人件費・家賃・リース料等及び借入返済額を含む毎月の固定的なキャッシュアウト。売上がゼロになっても支払いが必要な固定支出を3か月間賄えれば、その間に対策も打てるはずとの想定です。

これが平時でも備えておくべき「資金の溜め」です。

中小企業で固定支出3か月分の資金を保有している企業は必ずしも多くありません。「資金の溜め」は理解しても「儲かっていないから」など、そこまでの必要性を感じない経営者も多いのです。

しかし、儲かっていない場合は借入をしてでも「資金の溜め」を維持し、その借入返済も含めて経常的な資金繰りを考えておく。これが健全な財務です。

同じ業績ダウンでも、この「資金の溜め」があるところから対処する企業と、すぐに資金が不足し外に向かって金策に走る企業とでは、経営の実体面でも心理面でも、大きな差が出ます。

今後もこうした事態が起こり得る前提で、損益(PL)のみではなくストック(BS)も重視する経営、そしてキャッシュフローにより着目し「資金の溜め」を持つ経営に移行することが必要です。

ともあれ、今回様々な融資・税制の優遇や補助金等が提供されるので、利用可能な制度等を総動員してでも自己資金の不足を補い、まずはこの難局を乗り切ることが最優先課題です。

私たちもクライアントに対して、関連情報の提供とできる限りのサポートを、スピード感を持って実践したいと思います。

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