2022.02.28
Contributor:motoki
所得税等の確定申告時期を迎え、期限まで残り2週間ほどとなりました。電子化等により合理化が進んでいる部分もありますが、例年どおり業務が集中しています。
今年この時期に確定申告以外でクライアントからの問合せが多いのが、電子帳簿保存法(電帳法)関係となっています。
電帳法は当初、紙での保存義務がある税法上の帳簿書類等について、電子データによる保存を特例として認める制度でした。
それが令和3年度税制改正で抜本的に見直され、帳簿書類や取引記録等を下記の3つに区分して、電子データによる保存方法等が定められました。
①電子帳簿等保存
②スキャナ保存
③電子取引保存
①は決算書や会計帳簿等の作成データについて、また②は紙の請求書・領収書等のスキャナ取り込みデータについて、それぞれ電子データ保存を一定の要件の下で「容認する」ものです。
他方③は、EDI取引やメール添付で授受した請求書・領収書等の電子取引について、電子データ保存が「義務化」されました。
この電子取引の電子データ保存の義務化については、データの改ざん防止措置や条件検索機能の充足等が求められるため、何らかのシステム対応が必要となります。
そうしたシステム対応実務等に配慮し、今年(令和4年)1月からの施行に2年間の経過措置(宥恕規定)が設けられました。
現実問題として(少なくとも中小企業においては)、今年年初から万全のシステムによる対応は困難だったと思われます。
この延長された2年間で、改めて意義ある電帳法対応を検討するならば、下記の視点がポイントになると考えます。
・業務フロー及び業務システム全体の現状把握と見直し
・見直し後にデジタル化(電子化)すべき業務フローや業務システムを選別
・デジタル化によるペーパーレス化の更なる推進
・システム化においては業務別クラウドソフト(外部導入)を積極活用
・電帳法対応は企業全体のデジタル化の一部として位置付ける
・電子取引保存のみならず電子帳簿等保存及びスキャナ保存も進める
・来年(2023年)10月開始の消費税インボイス制度の電子化対応も合わせて検討
全て基本的事項ですが、クライアントの状況や他の事例等を見ると、これまでの電帳法対応は、義務化への消極的・部分的対応が中心で、こうした大枠の方向性の検討が十分に行われていないと感じます。
コロナ禍におけるテレワークの拡大が業務のデジタル化を加速した面がありますが、電帳法対応もこの流れに同期するものですから、mustの税制遵守のみではなく、企業全体のDXの一環として前向きに取り組みたいところです。
私たち会計事務所も(この繁忙期を抜けたら)、上記基本的事項に沿ったクライアントへのアドバイス等の実務対応を、より充実させて行きたいと考えています。
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