杉本会計事務所

代表コラム
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2021.11.30
Contributor:motoki

時には僧侶のように

秋の夜長は読書と思っていましたが、明日からもう師走。あまり読書が進まないまま秋が終わってしまう感じですが、最近読んだ本の中で気付きが多かった一冊を紹介します。

THINK LIKE A MONK/モンク思考(ジェイ・シェティ著/東洋経済新報社)

10代後半にビジネススクールで学んだ著者が、友人の誘いで聴講した僧侶(モンク)の話に触発され、自身も実際の僧侶経験を経た上で、僧侶の考え方や生きざま(モンク・マインド)の素晴らしさを伝え、在俗の人に学びと取り組みを促す書。

著者曰く「僧侶は誘惑に耐え、批判を慎み、苦しみや不安と向き合い、エゴを鎮めて、目的と意味のある生き方を実践する。地球上で最も心穏やかで、幸せで、最も明確な目的意識を持って生きている彼らに、僕らは学ぶべきではないか?」と。

僧侶ってそんなに凄い?そこまではムリ!と尻込みしそうですが、僧侶になるとは心の持ちようで、(僧侶でなくても)誰もが実践できることを、平易な語りで具体的に説いています。

モンク・マインドに至るステージは3つ。

①手放す(演じる人生・ネガな発想・恐怖・過度な欲望など阻害要因を取り除く)
②成長する(エゴを抑え、適切な意図・目的・ルーティンを確立し生活を見直す)
③与える(自己の外へ目を向け、感謝を忘れず人間関係を深め、奉仕を実践する)

3ステージの各論の中で、気付きと学びを得た部分をいくつか。

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僧侶が最初に学ぶのは呼吸の仕方。家族・友人そして故郷さえも、いつ自分が離れるか分からないが、生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、ずっと自分のそばにいるのは呼吸だから。

その呼吸はストレス・怒りなどの感情により変化するが、呼吸を正しい方向に導けば、逆に感情を制御することも可能になる。ゆえに呼吸法や瞑想は極めて大切。

人は皆、家庭の役柄・職場の役柄・友人間の役柄等々、他人にそう思われている自分の姿(ペルソナ)に忠実であろうとするあまり、自分の価値観を犠牲にしてしまう。

身に起こる出来事から、物理的にではなく心理的に一歩引き、渦中に居ないかのように外から状況を眺める(俯瞰する)ことで冷静に対処できる。これを無執着という。

人にはそれぞれ自分が一番輝ける分野の特性が生まれながらに備わっており、その得意分野で最大のポテンシャルを他者のために活用すること、それがダルマ(情熱+専門的能力+有用性)。

場所にはエネルギーが、時間には記憶がある。毎日同じ時間に・同じ場所で・同じことをする(ルーティン化する)と、楽に自然にできるようになる。

本質を吸収するために。食べ物は飲み(固形物を液体にするくらいよく噛む)、飲み物は噛む(液体をただ飲み干すことなく一口ずつ噛み締める)が如く味わう。

謙虚さを保つために。覚えておくべきこと=自分が他者にした悪行と他者が自分にした善行、忘れるべきこと=自分が他者にした善行と他者が自分にした悪行。

他者を助けること(奉仕)が人間の本来の性質であり、奉仕は奉仕する者のためになる。自分ではなく将来の他者の木陰を作るために、今、木を植える。

・・・・・・・

本書には、モンク・マインドの習得を目指すための具体的な方法や考え方が分かり易く書かれており、示唆を得られる箇所は、他にも沢山あると思います。

僧侶を目指したり、本書の内容を一気に実践するのは難しそうですが、一つ一つの思考や行動を、日常生活の中で、時には僧侶のように、個別に実践して行くことはできそうです。

果たして、自分にも「人間の本質は人に奉仕すること」の域へ達する日が来るのでしょうか。

日々精進ですね。

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