杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2021.10.31
Contributor:motoki

東証の市場再編と個人の株式投資

つい先日、東証が2024年から株式取引時間を30分延長し5時間半にするとの報道がありました。

延長後も6時間以上のロンドン・ニューヨーク・韓国等に及ばず、70年振りの変更で30分だけ?とも思うのですが、証券会社の実務対応等に難しい面があるようです。

その東証は来年4月に別の大きな改革として、現在の5市場:一部・二部・マザーズ・ジャスダック(スタンダードとグロース)を、新たな3市場:プライム・スタンダード・グロースに再編します。

現在の市場コンセプトが曖昧で投資家の利便性が低いこと、最上位の一部でも上場基準が低い上に廃止基準がより緩く、上場各社の企業価値向上を促す仕組みになっていないこと等が再編の理由とされています。

他の先進国株式に比して、日本の株式が長期間低迷した要因の一つに、こうした取引市場問題もあったと考えられます。

従って再編後最上位のプライム市場はハードルが高くなり、開示内容には、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の温室効果ガス排出量・気候変動のリスクや影響・女性管理職比率・有給休暇取得率等々、様々な情報が含まれるようになります。

企業が世界から資金を得るためには、もはやBSやPLが優秀なだけではダメということでしょう。

因みに、新たな開示情報にも検証が必要となり、検証なら監査法人ということで、特に気候変動(脱炭素)関連の環境データについての第三者保証や開示支援が、大手監査法人系ファームを中心に新たなコンサル分野になっています。

進行中のDXを含め、監査法人系ファームのサービス領域も陣容も、大きく変化して来ていますね。

さて、今回の東証改革を契機として、個人投資の観点から、株式投資を改めて検討するというのはどうでしょうか?

預金利息がほぼゼロの状況下で、iDeCoやNISAといった個人投資制度や、スマホで簡単に取引できるネット証券の普及等により、個人の株式投資は最近も増加傾向にあり、主たる目的は配当やキャピタルゲインの運用益にあると思われます。

東証改革=上場企業に求められる様々な対応には、環境や社会問題が含まれ、私たちの生活に直結する課題ですから、どの企業の取り組み姿勢により共感するかと言った視点で投資先を選ぶことが、長期的には運用益アップにも繋がるのかも知れません。

私も株式投資の経験年数は長いのですが、振り返れば、財務情報(実績・計画等)や株価関連指標(PER・PBR等)を判断基準として投資した銘柄より、身近で実際に利用する商品や店舗の接客に納得感のある企業の株式をより長期に保有し、結果的に運用成果も上がっているように思います。

今後はさらに、ESG視点を加えた銘柄選択により、長期投資ができるか、安定収益を得られるのか、自分なりにチャレンジして行きたいと思っています。

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