杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2021.04.30
Contributor:motoki

コロナ禍における企業の投資スタンス

昨年来のコロナ禍におけるM&Aの動向として、海外・国内間(クロスボーダー)の件数が大幅に減少する一方で、国内企業間の件数は微減に留まっているようです。

期間や規模の取り方により様々なデータがありますが、弊事務所でも関与機会が多い中小企業の事業承継型M&A等も考えると、確かにコンスタントに案件が出ていると感じます。

M&A仲介業社と先日打合せした際も直近の動向が話題になり、その中で、コロナ禍におけるM&Aを含めた企業の投資スタンスについて、下記の認識を共有しました。

①安定した財務基盤ありき

安定した財務基盤が投資を行う前提であり、そこが脆弱な企業が、コロナ禍における業績悪化から一気に挽回を目指す投資をしてもリスクが高く危険(失敗も多い)。

②元々の計画に基づく継続的な投資

投資を行う企業は、コロナ禍だからではなく、元々の計画に基づく継続的な投資を(調整はあっても)実践しており、逆張りのにわか投資を行っているわけではない。

③選択と集中の加速とバランス

環境変化に対応すべく進めて来た事業の選択と集中を、コロナ禍において加速することはあっても、極端に偏ることなく、バランス感覚を保った投資を実践する。

この点に関しては、下記のような二項選択において、いずれか一方に過度に集中するのではなく、バランスを考えて投資することを意味します。

国内と海外/都市と地方/若年層と高齢者/社外と社内/リアルとオンライン/紙とデジタル・・・

例えばDXの名の下に、リアルの店舗や対面販売をネット販売に急激にシフトしたり、社内文書を全廃しデータのデジタル化を一気に目指したりせず、体制整備も考慮しバランス感覚を持った投資を行うものです。

④明けない夜はない、その夜にどれだけ準備できるか

これは、コロナ禍でもM&Aや投資を継続している経営者の言葉。

厳しい経営環境が続き、それに耐えて夜明け(感染収束)をじっと待つ企業も多い中、この経営者が投資を実行するのは、夜明けが来たらただそれに安堵するのではなく、夜明けと共に、どの競合よりも素早い事業の再興・立ち上げを目指すから。

夜のうちに、夜明けと同時に走り出せる準備をする。そのための投資を、今行う。

上記4点は、現下のコロナ禍におけるM&Aの実例も踏まえた上で掲げたものですが、全てを望ましい形で実践することは容易ではないかも知れません。

しかしながら、今後も環境変化や景気変動がより速く・大きくなることも想定される中、ゴーイング・コンサーン(継続企業)として投資を検討する上でも、重要なスタンス(考え方)ではないかと思います。

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