杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2020.09.30
Contributor:motoki

事業計画書、どうしますか?

朝晩の暑さもぐっと和らぎ、今年も残り3ヶ月。年末に向けて、コロナ対応の助成金や融資を受けてもなお業績が改善しない中小企業の倒産増加が懸念されています。

そうした中小企業に対して、金融機関が事業計画書の作成・提出を求めるケースが増えています。

これまでも、業績不振企業が金融機関に追加融資等を要請する際に事業計画書が必要でしたが、最近は計画段階から、外部コンサルの活用(斡旋)も含めて、金融機関が融資先に関与する傾向が強まっています。

これには、経営者保証・担保確保から事業性評価への融資スタンスのシフト、融資以外のサービス収益化など、金融機関側の事情もあるでしょう。

ともあれ、事業計画書の作成主体は企業。金融機関の要請にどう対応するか。

実際のところ、事業計画書を作成している中小企業は少なく、私たち会計事務所に相談がある場合も、取り敢えず前期実績をベースに作って提出するという状況が、これまではありました。

しかしながら、コロナ融資で借入金が増大し、先行き不透明な経営環境が続く中で、融資のための形式的なものではなく、実際に機能する事業計画書の作成・運用が、今こそ必要です。

事業計画書の作成・運用の主要ポイントとして、下記の点が挙げられます。

・経営者自身が作成する(取りまとめる)
・具体策に基づく計画値の積み上げ
・前期実績はあくまで過去の参考値とする
・必達利益(償却前)>年間借入返済額
・PL(損益)よりもCF(資金繰り)重視
・適切な業績活動指標(KPI)の設定
・月次予実算管理(PDCA)の徹底
・経営環境変化に伴う計画の修正と実践

事業計画書には、定性目標や3年程度の中期計画も盛り込まれますが、現在の経営環境下では、短期(1年/月次)の数値計画重視で、必達利益を維持しつつ、迅速かつ柔軟に計画を見直し施策を打つスタンスが求められます。

「夢見て耕す」という取り組み姿勢がありますが、今は、夢を見る(将来ビジョンや中期計画を追い求める)ことよりも、足元を耕す(現下の業績を着実に上げる)ことを優先すべきでしょう。

少数ですが、経営者が主体となって毎期の事業計画書を作成し、毎月の予実算管理を徹底している中小企業もあるのです。

そうした企業の中には、コロナ禍でも内部留保が厚く、現状は借入があり損益が厳しくても、金融機関が事業計画書の提出を敢えて求めない、という状況もあります。

これまで事業計画書を作成していない企業も、上記のポイントを踏まえ、自社(経営者)による作成・運用を、是非、実践して欲しいところです。

そして、金融機関による作成支援等は、融資のために必要な手続及びコストとして捉え、お任せにせず、確認を依頼するくらいに受け入れて頂ければと思います。

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