2020.07.31
Contributor:motoki
7月は連日感染者が拡大し、人々の不安も増幅しています。新型コロナウイルスという目に見えず正体が掴み切れない相手に対しては、入手可能な「情報」を頼りに判断し行動するしかありません。
私たち会計事務所も主たる業務の対象は、目に見えるモノそれ自体ではなく、クライアントの業務活動に基づく取引記録等の正に「情報」。
その「情報」について、情報を取り扱う視点から、「情報の4段階」として整理してみます。
・第1段階:データ
・第2段階:インフォメーション
・第3段階:インプリケーション
・第4段階:ジャッジメント
データとは、事実としての事象・状況・数値等々、何ら手を加えていない生の情報。
会計処理で取り扱う売上・仕入等の基礎データ、証憑類に基づく取引記録などが該当します。
次のインフォメーションは、データに加工を加えたもの。個々のデータを様々な角度から分析したり他のデータと統合することで、情報価値が高まります。
会計資料では、損益推移表・予実対比表・財務指標分析などが該当し、どういう切り口や手法で加工するかが、続く第3・第4段階の情報(処理)の精度に影響します。
続くインプリケーションは、インフォメーションから導き出される意味合いや示唆、すなわちSo what?(だから何?)に当たる部分。その内容には、情報を取り扱う者の思考が反映します。
事業別の財務分析等に基づいた具体的な業績改善策などが該当するでしょう。
最後はインプリケーションに基づいたジャッジメント、すなわち判断。これにより具体的な行動が導き出され、選択肢としては、実行する・実行しない・検討する(先送り)があります。
このジャッジメントは、周囲が促すことはできても、最後は当事者が決めるしかありません。
ジャッジメントに100%の正解はありませんが、情報の4段階のステップを踏むことで、情報処理がより適切に行われ、意味ある合理的な行動につながる可能性は高くなるはずです。
ところが、実際の情報の取扱いとそれに基づく行動には、次のようなケースも多いものです。
・データの真偽が確かめられていない(間違ったデータからスタートしてしまう)。
・データ加工が不適切で、有効なインフォメーションが作られない。
・インフォメーション止まりで、インプリケーション以降に進まない。
・適切な2段階を経ず、根拠なきインプリケーションにより即行動してしまう。
・適切に3段階まで来ても、行動につながるジャッジメントができない。
新型コロナウイルスに関しては、データやインフォメーションが必ずしも正確・明確でないが故に、感染者数増加に対し過度な恐怖心を抱いたり、逆に気を緩め過ぎて感染を助長したり、一方で感染者や関係者に対して過激な誹謗中傷をしたり。
こうした「根拠なきインプリケーションにより即行動」というパターンが多いように思います。
情報に接するに際し、まずはデータやインフォメーションの信頼性を吟味し、「情報の4段階」のどの段階なのか、適切にステップを踏んでいるのかをよく考え、冷静かつ合理的な行動につなげたいものです。
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