2019.11.30
Contributor:motoki
今月は22日に米国を主とする商戦日ブラックフライデーがあり、私もアマゾンで家電をお手頃価格で購入しましたが、巨大商戦といえば、やはり中国の独身の日でした。
中国で数字の1が4つ並ぶ11月11日(双十一/ダブルイレブン)は、元は独身の日として若者が盛り上がる文化があったところ、2009年にネット通販アリババが同日に大型セールを仕掛けました。
以降年々規模が拡大し、今年も1日で4.2兆円の売上(流通総額)を記録。これは昨年同様、楽天の年間金額に匹敵します。
アリババはこの日を自らの技術力の限界を試す機会と捉えており、今年はピーク時1秒50万件以上のアクセスにシステムが耐え抜き、不正防止プログラムも適正に稼働。
かつて脆弱だった物流は、高速鉄道や貨物機(エア)をチャーターし、AI予測技術により受注前に想定消費者の近隣に在庫を確保するなどにより、都市部では翌日配送を実現したとされます。
これはもうアマゾンに勝るとも劣らないレベルではないかと思います。
私がこの巨大商戦に着目するのは、静岡のクライアント企業にも大きな影響があるからです。
この商戦で扱われる輸入商品の国別トップは日本で、ブランド別ベスト10にも美容商品等の日本ブランドが複数入っています。
これらはいわゆる日本の有名ブランドで、その下請けとしてクライアント企業が商品を供給しています(クライアント情報ゆえに詳細は控えます)。
アリババ→ブランド企業→下請け企業という流れでオーダーが入りますが、商戦の拡大により供給量が年々増加すると共に、上記のITや物流技術の向上により、下請け企業への発注も早期化・精緻化が進み、今年は安定供給ができたようです。
ただし下請け企業としての懸念は、この商戦対応を含む受注がこの先も維持できるのかどうか。そして、量的拡大に対応するために設備投資に踏み切るべきかどうか。
ブランド企業も重要市場の中国でアリババへの依存度が高まるにつれ、リスクヘッジのために自社生産を抑え、バッファーとして下請け企業への生産委託で調整する、これはよくある構図です。
個人的にこの受注への設備投資は慎重にすべきと考えますが、ブランド企業との取引関係を重視する経営者としては正に悩みどころ。しかも早期の決断が求められます。
中国の独身の日が静岡の中小企業経営に与えるインパクトの大きさに意外性も感じましたが、認識すべきは、企業規模によらず、マーケットも顧客も競合も、よりグローバルに捉え、よりスピーディな経営判断を求められるという現実。
遠く離れた変化にも目を向け、広い視野でモノゴトを俯瞰し、常に自分に引き付けて考え行動することの大切さを痛感します。
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