2019.05.19
Contributor:motoki
スタッフコラムで触れられていたペップトーク。私も解説書を2冊読んだところです(いずれも浦上大輔氏の著書/フォレスト出版)。
ペップ(PEP)とは英語で元気・活気という意味。ペップトークはスポーツ大国アメリカにおいて試合前の激励のコーチング話術とされ、同国ではそうした励ましの話術が技術として確立しているそうです。
言葉でやる気や力を引き出すためには、「何を言うか」と共に「誰が言うか」が重要で、話し手と受け手の間の信頼関係を土台として、できる限りポジティブな言葉を使うことが必要とされます。
同書では「話し手と受け手に信頼関係があるか・ないか」と「言葉がけがポジティブか・ネガティブか」の2つの軸で話し手の類型(マトリックス)がわかり易く示されています。
・ペップトーカー:信頼関係=あり/言葉がけ=ポジティブ
・ウワベ族:信頼関係=なし/言葉がけ=ポジティブ
・カラクチ族:信頼関係=あり/言葉がけ=ネガティブ
・パワハラ族:信頼関係=なし/言葉がけ=ネガティブ
パワハラ族は論外ですし、ウワベ族では受け手に言葉が響かない。目指すはペップトーカーですが、日本人の指導者等に多いのが、カラクチ族とされます。
スポーツで言えば、普段の練習や規律を重んじる指導を通じて信頼関係は築いていても、言葉がけは厳しい(ネガティブな)監督やコーチが当てはまるでしょうか。
言葉ををポジティブに変えて行くには意識が必要です。例えば次のように。
・ミスをするな→集中して慎重に
・緊張するな→いつもの調子でリラックス
・努力不足→のびしろが大きい
・お客様からのクレーム→関係改善とサービス向上のチャンス
職場等の組織においても、話し手(上司)は受け手(部下)の成果が不十分な状況において、ネガティブな言葉を使ったり、客観的に能力不足等の問題点を指摘したりしがちです。
一方で、人はその持てる能力を部分的にしか発揮できていない、とはよく言われるところです。
ペップトークが目指すのは、話し手が受け手の能力(resource)を高めることではなく、信頼関係を基礎として、ポジティブな言葉を使い、受け手が持つ能力を最大限に発揮できる心の状態(resourceful)を作り出すことです。
周囲の人々と日々接する中で地道に信頼関係を築くことの大切さ、力が発揮されるか否かはその人の能力そのものより心の状態に依存すること、そしてその心の状態はポジティブな言葉の力によってプラスの方向に変化すること。
シンプルだけど重要で実践的な学びを、今回も読書から得ることができたように思います。
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