杉本会計事務所

代表コラム
DIRECTOR
COLUMN

2019.01.27
Contributor:motoki

レバレッジを効かせる

前回コラムのテーマROEで、その分解要素として出てきた財務レバレッジ(総資本÷自己資本)は、資本収益性を高めるための借入金活用度を示す指標でした。

ここでいうレバレッジとは、てこ(梃子)のこと。
バールのような道具をイメージするとわかりますが、てこを使うと自分の力より大きな力を生み出して対象を動かすことが可能になります。
アルキメデスは「我に十分に長いてこと支点を与えよ。されば地球をも動かさん」と言ったとされます。

財務レバレッジも含めて、ファイナンスの世界でレバレッジとは、借金をしてより多くのリターンを求めることを意味します。

個人のことで考えれば、自己資金1千万円で同額の自宅を購入するより、4千万円を借り入れて5千万円の自宅を購入する方がより大きく豪華な家に住むことができ、もし住宅価値が上がれば増加分全てを自分が享受できます。

また教育を受けるための奨学金(教育資金借入金)も同様に考えることができ、現在は学費を払えなくても、教育が将来の高収入を生み出し、よりよい人生につながる可能性が広がります。

一方で、自宅であれば住宅価値の減少リスク、奨学金であれば想定した教育効果と収入が得られないリスク、さらにそうした要因からいずれも借入金返済に窮するリスクや過剰債務の問題が生じる可能性がありますので、リターンとリスクをどう考えるか、すなわちレバレッジをどれだけ効かせるかは、慎重に考える必要があります。

さて、このレバレッジは、人的リソースを考える上でも有効です。

外資系企業では、Leveraging others and being leveraged by others(他の人をレバレッジし、自らも他の人にレバレッジされること)を昇格要件としているところもあるようです。

これは、上の立場になれば、他の人の力を借りて自分の能力以上の成果を上げることが求められ、そうした協力を得るためには、自分自身が他の人に協力する場合に、他の人の能力以上の成果を提供できなければならない、そういうことだと思います。

私たち会計事務所でいえば、会計業務等について、クライアントが自ら行うよりも、より効率的に専門性の高いサービスとして提供すること、あるいは、他の士業の方とそれぞれの専門分野や得意分野を分担し、総合的なクライアントサービスを提供すること、こうしたことが人的リソースとしてのレバレッジになると思います。

個人として、そして事務所全体として、単に業務処理を請け負うだけ、代替するだけではなく、より付加価値の高いサービスを提供できること。また、外部のリソースも活用させて頂きながら、より幅広いサービスを提供できること。

そうしたレバレッジの効いた存在となり、さらにレバレッジを高めていくことを常に目指して行かないと、これからは生き残れない、それくらいに考えて努力して行かなければと思っています。

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